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7月10日開催しました第5回資料管理研修セミナー「資料活用のための目録作成のヒント〜資生堂企業資料館での資料整理を事例として〜」の当日の発表スライドを、講師の皆様のご厚意により、下記リンク先のスライドシェアにて公開しています。どうぞ参考にご覧ください。

(1)ICA=International Council on Archivesについて(松崎裕子・企業史料協議会理事)
 

 本年4月25日に発生したネパール大地震により人的、物的と同時に多くの文化遺産も被害を蒙りました。
 そうしたなか、日本において、マダン図書館救援グループ(代表:安江明夫・企業史料協議会副会長)が立ち上がり、活動をしています。具体的には同図書館からの救援要請が届きました。その情報が公益社団法人日本図書館協会のホームページに掲載されております。
 

 ぜひ、ご覧下さい。 

 この度、公益社団法人日本図書館協会から「図書館資料としてのマイクロフィルム入門」が刊行されました。
 東京大学大学院経済学研究科講師の小島浩之先生が中心になって共同執筆されたマイクロフィルムの取扱いについて解説された実践書です。
 従来のマイクロフィルム入門と題された著書にはなかった幅の広い構成で、あるいは最盛期を過ぎようとしているかもしれないマイクロフィルムの世界を見事に描写し、図書館員だけではなく資料保存と活用に関わる多くの人に読んでもらいたいと感じた。

 第T部の「フィルム資料の基本」では、マイクロフィルムの基礎知識、メディアとしてのマイクロフィルム、製造・撮影現場からみたマイクロフィルムの3章構成で、ここでは特にマイクロフィルムの役割について再確認させられる。

 第U部の「マイクロフィルムの劣化と保存環境」では、まさしく企業史料協議会の会員が現実に苦労している一般写真フィルムの保存の問題に対する回答が充分に説明されている。ここではこの第U部の目次を抜粋して掲載します。

 1章 マイクロフィルムの保存と劣化対策
  1.1 マイクロフィルムの劣化とその要因
   (1) 劣化とは何か
   (2) マイクロフィルムの長期保存のための三要素
   (3) ビネガーシンドロームと酢酸による影響
   (4) 変色と褪色
   (5) 温湿度に起因する劣化症状
   (6) 非銀塩画像フィルムの劣化
  1.2 マイクロフィルム劣化対策の基本
   (1) 温湿度管理
   (2) フィルムの分離保管
   (3) 放散作業
   (4) 包材交換
  附設 水損フィルムの復旧について
 2章 フィルムの保存環境
  2.1 資料保存のための環境整備
  2.2 温湿度管理とカビ対策
   (1) 温湿度管理
   (2) カビ対策
  2.3 空気清浄と酢酸対策
   (1) 空気清浄
   (2) TACフィルムから放散される酢酸への対策

 第V部の「現状と課題」では、日本の図書館におけるマイクロフィルムの保存と現状、マイクロフィルム保存のための方策の2章構成で、前者では公的な統計をふまえて行った19機関の訪問調査、さらにそのデータに基いて行った全国的な質問紙調査の結果が丁寧に記されている。後者ではフィルムの劣化の前兆を察知してどう行動するか、これは一般写真フィルムにも当てはめることが出来、とても参考になると感じた。

記:企業史料協議会・研修部会



 

資料管理研修セミナー「デジタル時代の史資料管理」の内容を報告いたします。


 今回はデジタルアーカイブズに焦点を絞り研修セミナーが開催された。会場はほぼ満席になり、このテーマへの関心の高さを感じる。
 デジタルアーカイブズの取り組みというと、企業の中で、誰にでも賛同できる必要性が見つけられにくいゆえになかなか踏み出せない。そんな実情がこの取り組みの難しさなのかもしれない。東芝未来科学館の方のレジメにもデジタル化する課題(長期保存性、原本の扱い、実際的な効果、費用)を挙げており、担当者の悩ましい面も見せている。
 そのような現状のなか、「デジタル化」に前向きに取り組みをしている三つの企業で、中心的に活動をされている方々に講演をいただいた。虎屋文庫や東芝未来科学館のように、どちらかというと歴史や技術を継承し、活かしていくミッションのある部門の活動状況、かたやキリンのようにアーカイブズの必要性を感じつつ、部門としてのプライオリティがなかなか高くならない、いわば一般企業の一部門として置かれ、積極的に取り組んでおられるお話と、立場こそ違え情報発信、そしてアーカイブズの活用法に苦労されている現場の本音を交えたお話で、興味深くもあり、その熱意に敬服した。冒頭の東京大学大学院の岡本教授の史資料をWeb上で検索する手法として図像や「モノ」からいかに多くの情報を獲得するために検索を進めるか、他の三コマの事例と合わせ、情報整理の見方として役立つ内容であった。
 今回の三つの事例と一つの手法は参加者それぞれが自社の現状と照らし、身近なこととして捉えることが出来、さらに一歩踏み出す力を与えられたのではないだろうか。講演を終えて、よく言われることだが、「大企業だから出来るのでは・・」という声はおそらく聞こえてこなかったように思えた。

                   
記:凸版印刷株式会社 檜垣 茂  

12月3日に9日間全講座が終了しました。全課程を受講いただいた5名の方に修了証を発行いたしましたので、お名前を掲載してご報告いたします(敬称は略させていただきます)。

アサヒグループホールディングス株式会社    森田 正樹

株式会社佼成出版社     藤巻 能央

清水建設株式会社     野々村 和恵

高島屋史料館     川上 和男

日本フイルコン株式会社     宮川 孝之


どうもありがとうございました。
(企業史料協議会・事務局) 

12月3日応用コースの6日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者27名
@「付加価値を生み出す企業アーカイブズ」
講師:公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター 松崎 裕子

 企業アーカイブズの特徴を説明された後、その多様な価値に触れられた。アーキビストにとって、自社のその価値を認識する、さらに理解することは必須であることを教えられた。その上でアーカイブズの部署が業務を遂行する時にチェックすべき項目のリストが示された。今後、このリストのさらに詳しい解説がなされれば受講生をはじめ、一般会員にもとても有効であると感じた。後半は海外と日本企業の事例が紹介され、それぞれさらに詳しい情報を知りたいと思いつつ、時間の関係で終了せざるを得なかったのは残念であった。


A「「役立つ資料室」をめざして」
講師:株式会社乃村工藝社 コーポレート本部経営企画部 石川 敦子

 会社に入社されてすぐ資料室に配属され、あとは一筋に現在まで、そのお仕事を全うされてこられたその経歴には驚かされた。小さい資料室だからやって来られたとのお話でしたが、データベースの導入とその積極的な活用をはじめ、様々なプロジェクトの企画と運営によって、ついには社内のナレッジ・サービス・センターと呼ばれるようになる。社内からの「ありがとう」のひと言、「あの人に頼めばなんとかしてくれる」と頼られる、なんとも素晴らしい会社人生ではないだろうかと感じた。

記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田 泰吉 

11月26日応用コースの5日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者25名
「事例研究:社史編纂」
講師:一般社団法人国際CCO交流研究所理事 粟津重光
「事例研究:企業博物館」
講師:株式会社LIXIL 広報部文化企画G GL/学芸員 後藤泰男

 応用コースの5日目は、社史編纂と企業博物館をそれぞれのテーマとした2件の事例研究。社史編纂については、象印マホービン在職時代に同社90年史である『暮らしを創る―象印マホービンの90年』の編纂に携わった粟津講師、企業博物館については、INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)やLIXIL資料館(東京都江東区)を担当する後藤講師が、それぞれの経験や社史・企業博物館に対する思いを90分ずつ語られた。それぞれの講座の中で社史編纂・企業博物館の意義や役割について述べる際、両講師は、期せずして「企業のアイデンティティ」という同じキーワードを使われていたが、両者に共通する価値が、そこに凝縮されていたように思われた。

記:大日本印刷株式会社 村田 孝文 

11月19日応用コースの4日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者25名
@「企業アーカイブズでの資料の保存と管理」
講師:独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所保存修復科学センター保存科学研究室長 佐野 千絵

 企業資料に絞った保存と管理の講義であるが、本題の化学的な技術的なお話に進む前に、企業アーカイブズに於ける保存の総論ともいうべきその特徴、あえて言えばその難しさを話された。それは材料種類の多様さ、不定形なサイズ、商業ベースの材料ゆえの不安定さ、不確定な活用方法、価値づけが難しいこと、結局これらは期待寿命を判断することの困難さにつながってしまう。資料保存の基本は資料の材料・技術・構造を正しく理解する―>劣化を予測する―>適した環境制御の選択であるという結論で、全体ではその選択のお話であった。断片的な知識だけでは得られない貴重な情報を頂いた。

A「資料の劣化要因と保存対策」
講師:株式会社TTトレーディング テクニカルアドバイザー 神谷 修治

 佐野先生の資料室、資料庫というどちらかと言えば大きな環境の事例に対して、神谷さんからは資料を保存箱などにしまうという小さな環境のお話をお聞きした。中性紙で作られた保存箱にしまうということの有効性は一見あたりまえのように思えるが、資料の様々な劣化要因をお聞きするとなるほどこれ以外にないなと感じられるようになった。
 講義とは別に過去5年間に発行された資料保存に関連する主な文献のリストをいただいた。受講生にとってはこれも非常に役に立つ情報ではないかと感じた。

記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田 泰吉









 

11月12日応用コースの3日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者20名
「企業資料デジタル化の基礎、課題、活用と展望」
講師:尚美学園大学芸術情報学部 准教授 
   樫村雅章
   株式会社堀内カラー アーカイブサポートセンター所長
   肥田康

 慶應義塾大学の「HUMIプロジェクト」における貴重書(グーテンベルグ聖書)のデジタル化手法開発などを通じて、十数年来、デジタルアーカイブ分野の第一線で連携してこられた二人の講師による講義。紙資料や写真を静止画としてデジタル画像化するケースを中心とした、資料デジタル化の基礎から活用まで、幅広い内容の講座であった。
 デジタルアーカイブデータの作製にあたっては、画像補正などによる見栄えの良さは不要で、むしろ「ありのまま」を再現することが重要、とのご指摘や、デジタルアーカイブ化の最大の効果は原資料の保護である、というお言葉が印象的であった。

記:大日本印刷株式会社 村田 孝文
 

10月29日応用コースの2日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者18名
「著作権について」
講師:ライツ法律特許事務所 弁護士・弁理士
伊藤 真

 法律上の問題を考える時、例えば、著作権侵害の場合の権利が発生しているのかいないのか、発生しているとすると、どのような権利か、というスタートからの思考の順序についてお話が始まった。個々の事例が豊富で、法律の講義でありながら、思わず引き込まれながらの聴講であった。それぞれの事柄には多くの場合、微妙なボーダーラインがあって、そうだったのかという意外性が沢山あった。関係する周辺の法律との関係は複雑で簡単には理解できないところもあったが、講義の終わる頃には、著作権のことを考える時には何は考える必要がなくて、何を考えればいいのかという指針を与えていただいた思いがした。

 毎年のことではあるが、講義終了後の質問がすごい。殆どがその方の個別の事例であるが、先生はそれらに丁寧に答えられた。そしてそれは結局、普遍的な問題として他の聴講生にも参考になるという貴重な時間である。通常の質問時間は10分程度を使うが、今回は30分を予定し、終了してもまだ続く為さらに15分延長した。

記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田 泰吉

  

10月23日応用コースの1日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者19名
「資料の収集、評価・選別、管理と活用」
講師:麗澤大学大学院 教授
佐藤 政則

 日本金融史の研究者である講師が、企業(製造業)から年史編纂に向けた文書資料の整理(目録作成)業務を委託され、実際に工場等にも足を運んで各所に保存されている生の史料に触れながら作業を進めた経験をベースに構築した、企業アーキビストを早期に要請するための基本トレーディングの方法論について、順を追って講義された。
 そのうえで、各企業で自社(自組織)のアーカイブズ構築に携わるアーキビストは、その過程で得たノウハウをビジネス化するくらいの勢いで社外へも積極的に打って出て欲しい、とのエールを送っていただいた。

記:大日本印刷株式会社 村田 孝文 

10月15日入門コースの3日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者24名
「企業制度の発達と企業史料」
講師:東京大学大学院経済学研究科 教授
武田 晴人

 企業制度が明治〜昭和へと確立していく中でどのような企業史資料が残存しているか、普段なかなか知ることのできない内容で、入門コースならではの講義で興味深かった。当時は史資料を積極的に残すというよりも、制度上残さざるを得ない時代で、残されている史資料も限られるのだろう。主な情報交換手段である書面や書簡などが資料として残っていて、企業情報以外に書面から見え隠れする人間的な側面もアナログ時代ならではで、興味深く、歴史推理でもするように紐解きをする面白さも過去史資料を扱う楽しみのひとつであろうと思う。講義の最後の史資料整理のコツにある「足で探す」はアナログ情報だけに限らず、オンライン上の資料収集にも同じことがいえる。ネット情報社会のデジタル空間上で「足を運び」、様々な部門や関連会社の情報に絶えず目を光らせ、ネットワーク作りを日ごろからしておくことがメディアが変わっても大切のように思う。

 三週の入門コースを終え、アーキビストの総論ともいえる講義でどれも興味深かった。講義内容のすべてが即、アーキビストのビジネスに直ちに直結していなくても、この三講義は少し視野を広げて、史資料に向き合うテーマの中から、国際的な観点や日本の明治、大正、昭和の過去の時代に目を向けさせる数少ない時間であったように感じられる。次の応用編への序章としてもとても有意義であった。

記:凸版印刷株式会社 檜垣茂 

10月8日入門コースの2日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者24名
「レコードマネジメントとアーカイブズ」
講師:株式会社出版文化社アーカイブズ研究所 所長
小谷 允志

 レコードマネジメントとアーカイブズの講演内容で、日本の文書管理、アーカイブズの現状をていねいに解説いただき、とても参考になった。日本のアーカイブズは、それほど後進国だったのかと改めて思ったことだ。少し前までは、私が読んだ書物にも、レコードマネジメントというとファイリングの方法や、什器の紹介などが中心で技術論的な話が多かったように思う。現在は法律も定められ、史資料の選別や評価、保管などのソフト面の重要性にスポットが当るようになっている。とはいっても日本の企業では、アーカイブズへの関心度は低い。企業にとって社会問題にまで表面化された、ある事件の要因がアーカイブズの基本を怠ったことが原因と分かっているにも関わらず、企業側の論理ではたまたま、特異なこと、として捉えるだけでアーカイブズの重要性を論議するまで至らないのが現状のように思う。アーカイブズを利活用することの誰もが認めるメリット、役割を企業の中で見いだせないまま、本気になって取り組むことの出来ないのだろう。とても難しい問題で、少しでもアーカイブズに携わる人間として様々な業界の方の意見を参考になんとかその方向性を、少しでも早く見出して行きたいものだ。

記:凸版印刷株式会社 檜垣茂 

10月1日入門コースの1日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者25名
「アーカイブズの意義とアーキビストの役割」
講師:学習院大学大学院人文科学研究科 アーカイブズ学専攻
安藤 正人 教授

 海外のアーカイブズ状況から日本の現況までのアウトラインで、事例を織り交ぜたわかり易い講義だった。社会的側面から事例に挙げられていた身近な年金問題や中国残留孤児問題は、根本的に記録する精度が極めて低い上にチェック機能が乏しかったことに起因する出来事ばかりである。過去の戦争の敗因を検証したある書籍に、日本軍は過去のデータや戦歴を参考にせず精神論で突き進んだことにひとつの敗因があることを紹介してあった。日本人は過去の出来事を正しく残す、そして記録を次へ活かすことが苦手なのだろうか。
 昨今、国や企業でアーカイブズが注目されている。「文化資源」、「社会資源」、「組織資源」の三つの資源性をもつアーカイブズを正しい方向に向かわせ、活かしていく「アーキビスト」の果たす役割は、アーカイブズが社会的に認知されるにつれ、より大きなものになるように思う。「アーキビスト」という専門家が史資料を評価、選択することで組織や国の「歴史=方向性」そのものを作っていくことになり、一面危うさも備えているように思うからだ。その意味で、アーキビストの資質はたいへん難しいものになるような気がする。2011年に施行された国の「公文書館理法」にある「四つのアビリティー」は史資料に携わる企業人として心に留めておく大切なことのように思う。

記:凸版印刷株式会社 檜垣茂 

『企業アーカイブズの理論と実践』 企業史料協議会編 丸善プラネット発行 2013年


 「企業アーカイブズ」とは何か。何の役に立つのか。活用するために、具体的には何をすれば良いのか。経営陣にも現場担当者にも、その手引きとなるのが本書である。
 
 本書は「企業史料の社会的・歴史的価値の重要性を認識し、会員相互の交流、企業史料の収集・保存・管理の調査研究とその水準の向上等をはかること」を目的に1981年に設立された企業史料協議会が、2006年に刊行した『ビジネスアーカイブズ入門ガイド』を元に、現在のデジタル環境等も考慮して内容を一新したもので、研修でも主要な参考文献として紹介されている。

 「理論編」第1章〜第5章と「実践編」第6章〜第11章の二部構成となっており、基本概念から、実際の体制作り、資料の収集と管理、その活用方法や著作権法の問題など、各章とも実例や経験に基づいて執筆されている。

 第1章「経営資源としてのアーカイブズ」は、企業アーカイブズについての概論的な内容でもある。

 「企業アーカイブズ」とは、企業史資料そのものと、それを管理・運営する組織の双方を指す。企業史資料とは日々の活動から生み出された記録物の中で、継続的な価値を持つ資料で、その「証拠」能力と文化的価値を活かし、今現在の企業の経営に、また今後の発展に、大きく貢献する唯一無二の貴重な経営資源であり、時には訴訟などの企業の危機を救う決め手にもなる。しかも素材は日々の業務で生まれるものだから、図書のような購入コストは必要ない。ただし有効に活用するためには、維持管理する組織(部署)と、アーカイブズに関する専門的な知識を持ったアーキビストが必要となる。

 アーカイブズを設置するにあたり、なにも新たに施設を整えたり、専門家を雇わなくても、既存の部署内で、配属された人が学びながら進めることも可能だ。具体的には以下の各章が参考になる。

 〈組織の体制作りや資料収集、管理業務〉については、第2章「「記憶」がつくる企業文化−構築と活用−」で、老舗大企業の事例を、第4章「機能としてのアーカイブズ−施設がなくても始められる−」では、地方自治体の文書館を例に、第5章「デジタル文書と企業アーカイブズ−担当者一名、しかも兼任、それでも可能なアーカイブズ−」では小規模の、兼任であっても整理・収集できるデジタル含めた社内文書の種類と収集について6つのステップで紹介している。

第6章「史資料の資源化」では、受入と収集、収集する史資料の種類、評価、整理、分類について、さらに具体的に紹介、第7章「史資料の管理」では、「企業活動の歴史を示す情報を、現在の事業活動に役立たせ、未来に残すために行う一連の活動をいう」と定義し、史資料の管理、デジタルデータの管理、アーカイブズ部門の管理業務に分けて紹介している。

 〈社史〉については、第3章「社史編集と企業アーカイブズ」で、社史が果たす3つの役割と、良い社史が備えるべき要件と作り方、そして活用方法について述べ、第9章「社史の編纂プロセス」では、実際の社史編纂の経験をもとに、企画から刊行までを4つのプロセスに分け、具体的に留意するポイントなどを述べている。

 〈情報発信〉については、第8章「情報発信とサービス提供」で、いかにタイムリーに情報を発信しうるか、社内向けと社外向けそれぞれの活用とサービス事例を紹介している。

 社史掲載や展示、インターネットでの情報発信等の際に、気をつけなければいけない〈著作権〉については、第10章「企業アーカイブズと著作権」で、著作権、パブリシティ権、商標権について、弁護士による解説がなされている。

 最後の章は、これから企業アーカイブズ設置を検討する会社の参考になるようにと、企業史料協議会会員でアーカイブズ体制を有する会社に対して、実施したアンケート調査の結果をまとめた第11章「組織・体制−企業アーカイブズ・アンケート調査結果を素材に−」で締めくくっている。

 もう少し事例が知りたい場合は、国内事例であれば、2010年の専門図書館協議会全国研究集会での基調講演「近代製鉄と資料保存」(講師:日本経済新聞社の松岡資明氏)、および第5分科会「味の老舗のビジネス・アーカイブ」での、虎屋、月桂冠、中村屋の3社の事例発表の記録が本誌243号(2010-V)に載っているし、海外の企業のアーカイブズ活用事例は、公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター編『世界のビジネス・アーカイブズ 企業価値の源泉』(日外アソシエーツ発行 2012年)に多数紹介されているので、参考にされたい。

 まずは資料が失われてしまう前に、体制を整え、収集・管理、そして活用の仕組づくりに取り組むことが急務であり、大切だと思う。筆者が直接担当している訳ではないが、弊社のアーカイブズでも、配属された担当者が実務において、参考にしている一冊である。

凸版印刷株式会社 印刷博物館ライブラリー
山ア美和(やまざき みわ)
 

『情報管理』Vol.57 No.2(2014年5月号)の「この本!おすすめします」と題されたコラムに神奈川県立川崎図書館の高田高史さんによる「情報を身につける」が掲載されています。

この記事で高田さんは4冊の本を紹介なさっています。記事では『企業アーカイブズの理論と実践』に関して「組織の歴史を扱う立場の誰にも参考になるであろう」と述べておられます。

詳しくは下記のページをご覧ください。



書評本文HTML:https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/57/2/57_139/_html/-char/ja/

書評本文PDF:https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/57/2/57_139/_pdf



 

本協議会主催ビジネスアーキビスト研修講座講師を講座開設以来務めていただいている麗澤大学教授佐藤政則先生による企業資料管理に関わる資料が、同大学経済社会総合研究センターのWorking PaperシリーズのNo60として「麗澤大学学術リポジトリ」で公開されています。目次をご紹介します。

[目次]
はしがき
1. 寄稿:「企業アーカイブへの期待─歴史的資料で組織を支える」
帝国データバンク史料館編『別冊Muse-企業と史料-』2012年10月

2. 寄稿:「野心的ビジネスアーカイブの構築を」
日本経営協会『OMNI-MANAGEMENT』2012年2月号

3. 講義資料:「社内文書を歴史資料に整備し現在と将来に活かす─資料の収集、評価・選別、管理と活用─」
企業史料協議会 第18回ビジネスアーキビスト研修講座 2013年10月25日

4. 口述記録:「企業アーカイブへの提言 No.10
旧DNP年史センター"ねんりん"インタビュー 2002年7月23日取材

5. 口述記録:「史料の収集と管理および付属資料・三菱製紙での資料収集と整理」
企業史料協議会 第1回ビジネスアーキビスト養成講座 1992年5月28日

6. 口述記録:「銀行史の編纂および配布資料」
全国地方銀行協会調査部 第3回年史懇談会 2001年11月8日

全文はこのページの一番下のURLからご覧ください。(PDF 137ページ)

ワーキングペーパーに関する詳しい情報は

https://reitaku.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=517&item_no=1&page_id=13&block_id=29

をご覧ください。なお、こちらのURLはハイパーリンクとなっておりませんので、コピーの上、ご利用中のブラウザのアドレスバーに貼り付けてください。


 

印刷博物館ライブラリーの山崎美和さんによる「資料紹介」の概要を掲載いたします。

専門図書館協議会機関誌『専門図書館』264号(2014年1月)の「資料紹介」の欄(同号63-64ページ)に、当協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』が取り上げられました。執筆者は印刷博物館ライブラリーの山崎美和さんです。

山崎氏は、

「『企業アーカイブズ』とは何か。何の役に立つのか。活用するために、具体的には何をすればよいのか。経営陣にも現場担当者にも、その手引きとなるのが本書である」
(同記事より引用。『専門図書館』264号、63ページ)

「残す価値がないと思われた資料でも、後に製品または事業改善の手掛かりになったり、裁判勝訴のための決定的証拠となることもあるので、経営者とアーカイブズの現場だけではなく、社内各部署の管理職にも読んで欲しい一冊である」(同64ページ)

と述べておられます。詳しい紹介は『専門図書館』264号をご覧ください。





 

『日本経済新聞』2013年12月22日朝刊21ページに、当協議会編による『企業アーカイブズの理論と実践』が掲載されました。

「本書は企業アーカイブズの効用を分かりやすく説くとともに、実例をもとにどのようにすれば構築が可能かを解説した、まさに実践的な本」(同記事より引用)

との評価をいただいております。 

学習院大学大学院の清水ふさ子さんによる書評の概要を掲載いたします。

全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)の会誌『記録と史料』24号(2014年3月)の「書評と紹介」欄に、当協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』が取り上げられました。執筆者は学習院大学大学院の清水ふさ子さんです。
(同号68-70ページに掲載)

清水氏は、

「何といっても初の企業アーカイブズ実践本ということが大いに評価されるべきだろう。特に企業アーカイブズに関わっている人であれば”欲しい情報はこれだった”と思う担当者も多いはずである」

(同記事より引用。『記録と史料』24号、70ページ)

と述べておられます。詳しい書評は『記録と史料』24号をご覧下さい。



 


 
 
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